
映画の中では、さまざまな価値観・考え・視点・感情に触れることができます。
そして当たり前ですが、人間の根本的な感情(喜び・悲しみ・憎しみ・愛・孤独・嫉妬・・・・)に、
人種や国籍や身分による違いはなく、みな同じなんだということを痛感します。
占星術も映画も【人間学】。
いい映画には、人間として生きていくうえでの【ヒント】【教え】が随所に散りばめられています。
第二回:スイートリトルライズ
『恋をしているの。本当は夫だけを愛していたいのに。』
★夫と妻
★いちばん近くて、いちばん通い存在
★夫婦の間でしかわからない愛
・原作:江國香織
・監督:矢崎仁司
・脚本:狗飼恭子
・製作:日本
・時間:117分
・公開:2010年3月13日

画像引用元:公式サイトより
ストーリー
夫の聡(大森南朋)と結婚して3年になるテディベア作家の瑠璃子(中谷美紀)。
日常に不満はないものの、人間の抱える根元的な寂しさにさいなまれる瑠璃子は、夫に向かい、
「この家には恋が足りないと思うの」と自分の気持ちを伝えてしまう。
そんな中、瑠璃子は自分の作ったベアを欲しがる青年・春夫(小林十市)と出会うが……。
引用:シネマトゥデイより
人間学/個人的感想(DVDで2回鑑賞)
映画レビュー【第一回目】から時間が空いてしまいましたが

江國香織さんの同名ベストセラー小説を映画化した、美しくも切ない大人のラブストーリー。
ベストセラー小説の映画化はガッカリすることが多かったりしますが、
この映画は、小説の中にある世界を、映像の中で、実に忠実に再現しているのではないかなと思いました。
申し分のない夫(大森南朋)。自分自身の仕事の成功。
なに不自由ない幸せな暮らしの中で、満たされない“何か”。
妻(中谷美紀)には得体の知れない虚しさ、埋められない隙間があった───。
・・・ここまで書いて気づきました。
第一回目(CHLOE/クロエ)と完全に同じテーマですよね・・・わはは。
でもでも、【空虚で色のない夫婦関係】【あの頃には戻れない二人】という同じテーマでありながら、
まったく違う世界観。
しかも、この映画の場合は、お互いに恋人がいる(不倫をしている)というありさまです。
それなのに。
嫉妬、恍惚、狂気、自滅・・・というドロドロした感情が渦巻いた【CHLOE/クロエ】とは違い、
この映画の中には、“感情”というものが見当たりません。
“感情”を押し殺して我慢しているという気配すらありません。
実に淡々としていて、静かで、無機質なのに、
見ている側は、心の奥の奥をほじくり返されるかのように、“感情”の糸がもつれ出すのです。
(ついでなので、【CHLOE/クロエ】と見比べていただくとコントラストがあって面白いかもしれません)
江國さんの小説は【行間を読む】ような描写が多いですが、
映画でも、セリフ(言葉)ではない部分──表情・目線・仕草・「間」──で感じ取るような描写がほとんどで、
たとえばベッドの脇に飾られたぬいぐるみであったり、閉ざされているドアであったり、
散りゆくバラの花びらであったり、冷たくなった犬であったり、砂糖が入った骨壷であったりと、
あちらこちらに、
人間である以上誰も逃れることのできない【孤独の隙間】が
見え隠れするのです。
まさに、言葉では言い表せない世界観。
そして、だからこそ、時おり発せられる言葉が強くて、息を呑む。
おそらく、夫婦という関係性の渦中にある人であれば誰もが、“身に覚えのある感覚”に陥るだろうと思います。
ただ、実際に観ていただくとわかっていただけると思うのですが、
この夫婦は、絶対に離婚しない。
それは誰もが、おそらく映画が始まってすぐの早い段階で悟るはずです。
この夫婦の間には、誰も入ることができないのです。
そして、この夫婦に限らず、
世の中のすべての夫婦には、【その夫婦にしかわからない世界】が確実にあるのだろうと。
愛しているけど、どうすればいいのかわからない。
どうしたらいいのかわからないけれど、とても愛している。
一人でいる孤独よりも、二人でいる孤独のほうが、何倍も孤独だ。
でもやっぱり、一人でいる孤独より、二人でいる孤独のほうがあたたかいのかもしれない。
・・・直接的な会話がほとんどない二人から、私はそんなふうな、言葉にならない愛を感じ取りました。
お互い不倫をしている「会話のない夫婦」から深い愛を感じ取れるという、不思議な映画。

それにしても、大森南朋さんと中谷美紀さんの演技は素晴らしかった。
この二人でなければ成り立たなかった映画。
中谷さんの迫真の演技(言葉)は、そのままこの記事のタイトルにしています。
観ていないという方は、今週末、TSUTAYAレンタルいかがですか



・中谷美紀:太陽山羊・月牡牛・水星水瓶・金星射手・火星双子
・大森南朋:太陽水瓶:月牡羊・水星魚・金星牡羊・火星牡牛
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